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あえて劇薬を飲むか~郵政民営化問題に思う~ 

 まず、はっきり言ってしまうと、既存の郵便事業の能率云々(過疎地を含む全国一律のサーヴィス云々、郵便局の窓口業務がどうのこうの、信書の取り扱い云々、郵送のスピードetc)は、実はどうでもいい論点だと思われる。郵政改革の本当の主眼は、自民党の族議員が地方に垂れ流してる巨額の資金の大本である郵便貯金を市場に解放することによって断ち切ることだろう。要するに、今回の郵政民営化云々の根幹は、その是非である。

 
小泉総理はかつて全国の路上で「自民党をぶっ壊す!!」と絶叫した。実際、彼の一連の改革と今回の解散によって、かつての自民党は死に体である。もはや、自民党は、よくも悪くもかつての自民党ではなくなりつつある。否応なしに、自民党は変わっていくだろう。

 さて、先日綿貫民輔元衆院議長・亀井静香元自民党政調会長らが中心となって、国民新党なるものを立ち上げた。しかし、自民党内での同調者は少ない。この現象を説明するひとつの根本的な理由は、自民党の人々の自民党という党名へのこだわりだろう。郵政民営化法案に反対票を投じたことにより、今回の選挙で党本部の公認を得られない人々の多くは、なおも自民党という看板を掲げて選挙を戦おうとしている。

 はっきり言ってしまうと、現在の小泉自民党は、もはや自民党ではなくなっているのである。いわば、自民党は内側からハイジャックされ、ボロボロにされている。まさしく、慢性的な不人気から立ち直り、政権政党として生き残るために小泉純一郎氏に母屋を貸したら乗っ取られてしまったのがいまの自民党だ。つまり、非自民党的な自民党へと、自民党は変わろうとしている。

 言うまでもなく、今までのばら撒き型政治を続けていては日本は沈む。シビル・ミニマムという言葉がある。ようするに、人々が生活し、なおかつ国家が経済・産業的な有機体として機能するにあたって要最低限必要な生活環境基準のことだ。いわゆる古い自民党のばら撒き型政治が現在の繁栄をつくった。なぜならば、シビル・ミニマムが充足されていなかったから、ばら撒きは結果として道路や橋やダムや諸々のネットワークなどのシビル・ミニマムとしてのインフラ設備を整備することを可能にしたからである。ゆえに、かつてはばら撒きとは経済的な観点およびその長期的採算性からも極めて合理的な政策だった。そして、自民党は、そういった公共事業を地方に誘導することを餌に、票を獲得することによって政権政党で在り続けた。

 しかし、もはやシビル・ミニマムは満たされた。もはや道路やダムをつくっても、その費用に見合う効果がない…、つまり長期的な採算性がとれないし必要もない場合がほとんどなのである。したがって、現在行われている公共事業の多くは単なる無駄遣いであり、国庫の赤字増殖の最大の要因となっている。

 そして、それらの無駄な公共投資の主要な財源ひとつとなっているのが、郵便貯金である。ゆえに、これを国家の管轄から斬りおとし、その巨額の金を市場に流通させることで財政と景気を好転させようというのが、いわゆる郵政改革の主眼ではないかと僕は個人的に思っている。

 それは、「旧き良き自民党」を根幹から変える作業であることも確かだ。これほど非自民党的な政策はない。また、明らかに党派的な考慮が働いている改革であることも事実だ。これが、橋本派潰しであることは明白だろう。したがって、亀井静香氏や、旧橋本派の面々が造反し、猛反発するのも無理はないことなのだろう。また、造反にまでは踏み出さなかったものの、潜在的にこの政策に反発を感じているのが、党内の圧倒的多数ではないかと思われる。

 本来、筋から言うといわゆる自民党守旧派は大挙して国民新党に加入し、ばら撒き政党~いわば真・自民党~として小泉自民党と対決するのが筋なのだろう。しかし、やはり自民党という名前と歴史の縛りが彼らと彼らの無数の支持組織を阻んでいるのだろう。

 さて、よくも悪くも自民党は変わり始めた。市場原理~競争と合理化~に委ねればすべてがうまくいくという信仰を中核に据えた、新自由主義政党となりつつある。アメリカ型グローバリズムに、日本を投げ込むことで当座の問題を解決しようとするその手法に対しては、様々な議論があり得ると思う。

 僕の立場としては、やはりこういった政策は支持できない。もちろん、その短期的な効果は否定できないだろう。しかし、これは劇薬だ。郵便貯金といえば、確かに無駄な公共事業のためのドル箱として機能していたが、しかし同時に国民にとっては最も信頼できるセーフティーネット的な金融機関であったことも事実だ。既存のばら撒き型政党やそういった政党を与党にし続けることを可能にする選挙制度、さらに硬直した官僚制を改革するという地道で困難な営みを放棄し、「民営化」という劇薬で問題を解決しようとうする政治手法は、長期的な視点から見る限り非常に危険なものだと僕は思う。少なくとも、国民から「安心」という資産を結果的には奪う第一歩となるのではないだろうかと危惧してしまう。

 要は、郵政民営化云々における最大の争点(と僕が勝手に考えているもの)は、巨額の郵便貯金を自民党族議員のポケットマネーにするか、それとも市場に委ねるか、どちらがより有効かつ効率的な資金運用が可能かということであろう。しかし、ここでは初めから既存の仕組みを温存するか、ぶっ壊すかという二元論的な発想が機能しており、第三の道を模索するという選択肢が初めから除外されているように思う。

 そもそも、いわゆる巨額の財政赤字といった問題は、健全な政治が日本に存在していれば防げたものだ。かつて有効であった方法が、今日有効とは限らないのが政治の世界だが、自民党という政党の悲劇はまさしくその原則を忘れたということであろう。結果、わが国における政治制度は、「ばら巻き」という根本原理の元に組織され、60年間で完全にいわゆる「政官産の鉄の三角形」といった形で硬直しつつ今に至る。その都度の社会状況に合わせて、現実的な形で地道に対処し続ける健全な政治がなかったから、そのツケがいま郵政民営化という劇薬を飲むかどうかという瀬戸際にわが国を追いやってしまったのではないかと思う。

 政治改革という言葉が死語となって久しい。しかし、今こそ政治改革が必要となっている時代は、かつて無かったのではないだろうか。公共投資という手法そのものが効果がないのではない。問題は、無駄な長期的採算性も取れず、また住民の福祉にもほとんど貢献しないような公共投資の存在である。したがって、本来の問題はいかに効果的に税金を使うか、現在わが国が必要とされる形でのグランド・デザインを描き、その下で省庁の再編成・リストラを行い、効果的な公共投資を行い得る政治を行うことではないだろうか。

 意味の無いばら撒きが行われるのも、結局のところシビル・ミニマムが全国的にほぼ充足されて以降、わが国の政治において、目指すべき目標ーグランド・デザイン―が欠落していたからに他ならない。もっと生々しい言葉を使うならば、要するに有り余っている「金」を何に使うべきか考えてこなかったから、現在の苦境があるのではないか。そうなってくると、結局のところいま必要なのは郵政民営化よりも、まずはすべての国民の声なき声、あえぎ、願望、そういったものを汲み取り、目指すべき国の姿を据えなおす理論的な作業ではないだろうか。小泉氏がどのような改革を行おうとも、そういったわが国の「現実」と向き合い、この国のあり方を据えなおす作業を行わない限り、今後もわが国は過去の栄光に縋りながら沈み続けるに違いない。
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コメント

真相は?

税収の半分をを公務員の人件費として使っています。
それで税収だけでは足らないので借金をしています。
郵便貯金は国民からもらったものという感じで好き勝手に借りてきては使ってしまうので、小泉さんがそれではいけないと思い、政府と郵便局との距離を離したらよくなると信じて改革しようとした。
もし郵便局から借金ができにくくなったら税収の半分を食っている公務員の人件費を削減しようとなるから公務員は反対する
民主党の支持基盤のひとつに公務員の労組がある。公務員が反対したのだから民主党は自分の意思に反して改革に反対しなければならないつらい立場になっている。
製造業が日本から中国へ移って行ってます。製造コストの低い中国と勝負するために日本での製造コストを下げる必要があると思います。

金融開国

おひさしぶりです。mori夫です。
私もほぼ同意見ですが、グローバリズムの国際的要求には
従わざるを得ないだろうと思っています。
(拙意見をTBさせていただきました。)

>MPaさん

 はじめまして。

 おそらく、現在わが国が直面している状況は非常に悪く、また幾つもの問題が複雑に絡み合っているのでしょうね。

 そうしたこんがらかった糸をいかに地道にひとつずつほぐしていけるかが、わが国の前途を分けるものだと思います。

 郵政民営化などの政策は一見華麗であり、劇的な効果があるようですが
、しかし、長期的に見た場合所詮はその場しのぎに過ぎないのではないかと思っています。

同感です

>mori夫さん

 お久しぶりです。

 グローバリズムの国際的要求には
従わざるを得ないというのは、僕も同意見です。

 問題は、いかにその過程を政治的にコントロールし、人々の暮らしを安んじる形でそれを行えるかどうかだと思います。

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やっぱり民主党も郵政改革するそうです。

郵政民営化法案ネタを書いたら一気にアクセスがUPしてとまどっている筆者です。ああ、弥生さんのライブみたい・・・。(←アキラメロ)マニュフェストも揃ってきたことですし・・・。とりあえず、二大政党で比較すると・・・。【自民党】民主党とのチラシの比較http://www.
  • [2005/08/20 10:45]
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念のため確認してみた。(郵政改革法案)

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  • [2005/08/20 10:45]
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郵政民営化・金融鎖国から金融開国へ

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  • [2005/08/20 17:56]
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郵便局とガソリンスタンド

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  • [2005/09/02 02:38]
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  • 随想 吉祥寺の森から |
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