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よき聴き手 

 「人前に出るのは苦手なんです。」

 「どうして?」

 「自分が何を話していいかわからなくなるから。」

 「だったらいい聴き手になりなさい。」

 「いい聴き手?」

 「そう。この世界は人々に満ちていて、それぞれに自分だけの物語があり、そしてみんなそれを誰かに話したくてしかたがないの。だけど、耳を傾けてくれる人はあまりにも少ないから、みんなどこかで寂しいの。」

 「寂しい?」

 「そう、寂しいの。だって、そうでしょう?誰かの物語に耳を傾けると言うことは、その人を受け止めること。話を聴いてくれる人の目の中に自分自身を映すことによって、初めて自分自身が見えるんじゃないかな?そういった、つながりがあるから生きることに意味がある。自分の物語に耳を傾けてくれる人がいるから、自分を確認できる。つながりがないところには他人がいないだけじゃなくて、自分自身もいないの。それは寂しいことじゃなくて?」

 「そう…それは寂しい。そして、語りかけてくれる人がいないところでも、人は寂しい。それも、やはりつながりがどこにもないから?」

 「そうだね。だからね、人前で話したいことみつからなかったら、相手の話したいことを聴いてあげなさい。それは、ひとつの立派な役割だと思うよ。話し手と聴き手がいて、はじめてつながりが成立するのだから。でも、いまの世の中って聴き手の方がとても少なくなっている気がする。」

 「だから…みんなどこか寂しいのかな?自分の物語を受け止めてくれる人がいないから、自分をみつけられない。でも、誰かの話を聴くというのは、どういうことだろうか?どうやったら、よい聴き手になれるのだろうか。どうすればいいんだろう。それは例えば、うまい相槌をうつとか、相手の目をしっかりと見て頻繁にうなずくとか、そういうことなのかな?」

 「それよりも、もっと根本的には相手の話に、更には相手の人間性そのものに興味を抱くこと、これがいい聴き手の条件だと思うな。」

 「興味?」

 「そう、興味。結局、うわっつらだけ取り繕って聴いているそぶりを見せても、相手が本当に真摯に語ろうとしている人であればあるほど、それは見破られてしまうもの。たぶん、人が何かを心の奥底から語ろうとするときに必要としているのは、聴いている素振りではなくて、さっきも言った自分の物語を受け止めてくれる相手だと思う。そして、自分の物語というのはあらかじめそれ自体先立って存在しているんじゃなくて、聴き手がそれを語り手から引き出すんじゃないかな。」

 「語り手から物語を引き出す?それが聴き手の役割と言うことなの?」

 「たぶん、本当によい聴き手とは、語り手の心の奥底、人格の深みにある物語を引き出すような人だと思う。」

 「具体的には?」

 「具体的には、それこそ相槌だったり、質問だったり、しぐさであったりするのだろうけど、でもそれらをすべて可能にするのは、やっぱり相手の人間性そのものに対する興味、或いは関心なんじゃないかなと思う。」

 「でも、それはとても難しいことだと思う。どうしても、興味の持てない話題ってあるし、それにどうしても興味のもちようのない相手って、いない?」

 「そういうことは正直あるけれど、だけど、例えば興味の持てない話題だったら、相手がなぜそういうことを問題にするのかということに目を向けることによって、それは解決できるんじゃないかな。そして、もう一つ…相手の人間性そのものについてあまり興味を抱けない場合だけど…そういう時は自分自身に目を向けて、その人に対する違和感や無関心は自分のどういったところから出ているのか考えてみるいい機会なんじゃないかな?」

 「…う~ん、それはとても難しいことを言っているよ?結局、実はよく聴くってことは、よく語るってことと同じくらい難しいことなんだね。」

 「でも、語るということとは本質的に違った行為でもあるよね。ここで言いたかったことはね、ようするに誰もがうまく、何か面白いことをしゃべろうとしなくてもいいんじゃないかってことなんだよね。」

 「聴いてくれる人がいるから…」

 「そう…だね。」

 「気になったのだけど、よき聴き手の条件というのはなんとなくわかったけれど、それはよき語り手の条件とも結果的には重なるんじゃないだろうか。そんな気がするのだけど。」

 「あぁ、なるほど…それは、どうなんだろう。」

 「まぁ、でもそれは後日までの宿題ということで。書いている人が疲れてきたみたいだから。」

 「そうだね。そうしよう。」



 なんて、ちょっとした脳内対話を思いつくままに綴ってみました。金曜日に、久しぶりにいわゆる「付き合い」の飲み会に出席せざるを得なかったのだけど、その席上でなんとなくいろいろ思いました。まぁ、なんてことを言いつつ、そういう席も、それはそれでわりと割り切って楽しめるタイプなんですけどね、僕自身は。
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