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大前研一 戦略的思考のプロセス 

「戦略的」と私が考えている思考の根底にあるのは、一見渾然一体となっていたり、常識というパッケージに包まれてしまっていたりする事象を分析し、ものの本質に基づいてバラバラにしたうえでそれぞれの持つ意味あいを自分にとって最も有利になるように組み立てたうえで、攻勢に転じるやり方である。

 個々の要素の特質をよく理解したうえで、今度はもう一度人間の頭の極限を使って組み立てていく思考方法である。世の中の事象は、必ずしも線型ではないから、要素をつなぎ合わせていくときに最も頼りになるのは(システムアナリシスなどの方法論ではなく)、この世に存在する最も非線型的的思考道具である人間の頭脳であるはずである。

 私が強調したいのは、この方法は従来の機械的システム思考、すなわち事象を分解するときも、組み合わせてゆくときも、線型思考するやり方とは大いに異なる、情緒だけを重視して、事象の分解をせずに、勘でいきなり結論に至るやり方とも大いに異なるということである。冷徹な分析と人間の経験や勘、思考力を、最も有効に組み合わせた思考形態こそ、どのような新しい困難な事態に面しても、人間の力で可能なベストの解答を出して突破してゆく方法であると思う。

 それゆえにこそ、この種の考え方が、戦場であれ市場であれ、かつて人の遭遇したことのない試練を乗り切る戦略を生み出す最善の方法であると私は考えるのである。

p29



 戦略的思考の第一段階が、ものの本質を考えるということにある、と述べた。誰でも物事の本質をつきつめようと考えているに違いないので、出てきた結果が核心をついているか否かは、運、不運ではないかと思われる方がいるかもしれない。私は、運、不運ではなく、問題に取り組むときの姿勢と方法に大いに関係があると思う。スタート時点で大切なことは次の一点であろう。

「設問のしかたを解決策志向的に行うこと」

 例えば、同じ問題についてもいくつかの設問を試みてみる必要がある。

 残業が慢性化している会社で、しかも業績が思わしくないとき、「残業を減らすにはどうしたらよいか?」という設問をすると、

  • 昼間一生懸命働く

  • 就業y時間のターゲットを五時にして仕事をする

  • 昼休みを短縮する

  • 私用電話の長話を禁止する

 などなど、多くの案が出てくるに違いない。事実、ZD(ゼロ・ディフェクト)運動などで、全員参加の不良低減や原価低減などを行っている会社では、こうした質問によって全社員からアイデアを募集し、それを一定のスクリーンにかけて、改善活動をしているところが多い。だが、私はこうした提案箱的やりかたには本質的な限界があると思う。それは、設問そのものが解決策志向的でないからだえる。

 設問のしかたを変えてみよう。

 「当社は仕事量に対して十分な人がいるのか?」

 こうなると、YESかNOかしか答えがなくなる。YES、すなわち十分な人がいるという答えを出すためには、かなりの分析をしなくてはならない。同業他社との比較や、この会社の売り上げが半分であったころの間接人員一人当たりの仕事処理量、コンピュータ化の程度とその経済効果などについて焦点が絞れてくるはずだえる。

p31~32

 設問を解決策志向型にすることによって、物の本質に迫る解決案というものを出す場合、設問が的を射ているためには、問題点そのものがすでに正しく把握されている必要がある。例えば前節で「当社の売り上げが伸びないのは、シェアが伸びていないからなのか?」という設問がそもそもできるためには、少なくとも兆候として「売り上げが伸びていない」ということが把握されていなくてはならない。しかし、売上高のような、どこの会社も追随している変数に、必ずしも事業内容悪化あるいは好転の兆しが表れるとは限らない。

 このため問題点のしぼり方、すなわち摘出方法が問題解決の一つの決め手となる。私は、この段階で重要なことは、

 「問題点の絞り方を現象追随的に行うこと」

 であると思う。

 …

 このとき、まず現象の摘出にあたっては、ブレーンストーミングでも、オピニオンポルでも、あるいはその他のどんな方法でもよいから、当該企業が新鋭企業に対して、劣っていると思われる点を集め、箇条書きにする。次に、これらは必ず何らかの共通項に整理されるはずだから、例の同類項をくくる誰でも知っている初等数学の要領で、グルーピングを行う。そのうえで、もう一度グループとしてまとめてみた場合に、共通していえる問題点とは何か、ということを考えてみる。

 このプロセスを抽象化のプロセスと呼んでもよい。

p38~39

企業参謀―戦略的思考とはなにか
大前 研一
4833416948

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