スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

書評 進藤雄介 『アフガニスタン祖国平和の夢』 

アフガニスタン祖国平和の夢―外交官の見た和平の真実
4434052101
進藤 雄介

by G-Tools

総評

 現代アフガニスタン史への格好の入門書。王政廃止、アフガン侵攻、内乱、ムジャヒディン、タリバン、米軍の爆撃、ロヤ・ジルガ、カルザイ…不幸な国の経た数々の苦難がひとつの文脈の中に明晰に整理され、語られている。

(本記事は、四畳半寝太郎が藤原由紀生のペンネームで日本インターネット新聞に投稿したものを転載したものです。)

 

  2001年の9・11テロ事件まで無視され、そして米軍主導の戦争が終わった今再び忘れられつつあるアフガニスタン。その語られざる過去とその後が、アフガン和平に深くかかわった一外務官の目線からつづられている。

 アフガニスタンというと、1979年のソ連によるアフガン侵攻により国際社会の注目を浴びた土地である。しかし、1989年のソ連軍撤退によりその後忘れ去られ、その後激しい内戦に苦しみつつも、国際社会からは黙殺された。だが、2001年の同時多発テロをきっかけに、米国によるいわゆる対テロ戦争の最初の戦場になったことで、再び国際社会の注目を浴びた。そしてタリバン政権は転覆され、イラクや朝鮮半島へと国際社会の関心は移った。その結果、アフガニスタンは再び忘れ去られようとしている。そこに欠けていたのはアフガニスタンで起きていることを文脈的に把握しようとする姿勢ではなかったか。

 本書は、1人の日本人外交官の目線からアフガニスタンの過去と現在を国際政治的・歴史的文脈において再構成した非常に秀逸なドキュメンタリーだ。扱う対象は1973年の王政廃止から、ソ連のアフガン侵攻、その後の動乱、タリバン政権の成立から米国の介入、そして2004年までのカルザイ政権成立まで。アフガニスタンの人々を分裂や内乱に引き込んだ民族対立や、ソ連、イラン、パキスタンなどの強国の介入、そしてそこからエスカレートして行った国内の分裂。彼らがそういった問題をロヤ・ジルガという伝統的な合意形成機関を通じて解消していこうという合意にいたるまでのプロセスを鮮明に、当事者の視点から記述し、分析している。 

 悪者が滅んで即座にハッピーエンドになるのは、現実世界の政治的事象においてはまず見られない現象であろう。同様に、政治的・歴史的文脈を踏まえて考えれば、アフガニスタンにおいても、タリバン政権がなくなったからと言って本質的な問題が解決したとは言いがたい。特に深刻なのは依然として根強い民族間、軍閥間の対立感情であり、またパキスタン国境やテロリストなどの不安定要因であろう。本書が提起する事実や問題意識は、国際社会がアフガニスタンより決して眼を離してはいけないことを教えてくれる。

スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://slumber365.blog2.fc2.com/tb.php/32-196fe9ac

-

管理人の承認後に表示されます

-

管理人の承認後に表示されます
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。