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書評 森嶋通夫 『政治家の条件』 

政治家の条件―イギリス、EC、日本
森嶋 通夫

4004301998
岩波書店 1991-12
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書評 森嶋通夫 『政治家の条件』
森嶋通夫 「政治家の条件―イギリス、EC,日本―」 1991 第1版 岩波新書

 筆者はマックス・ウェーバーの「職業としての政治」を土台に、現代における政治家の資質、更には実際のケーススタディーとしてイギリスのサッチャー首相と日本の海部首相の分析を行っている。

 「職業としての政治」によると、政治家に必要なのは信条倫理と責任倫理の相克を取り持つバランス感覚である。森嶋によるとサッチャーは信条倫理に過剰に傾き、現実性とバランス感覚を喪失した為に失敗し、また、海部は近視眼的な責任倫理にのみとらわれ、マクロな視点での理想・信念を持たなかった故に失敗した。

 それらの前提を踏まえた上で、彼は政治家に必須であるところの幾つかの資質を挙げ、それらについて実例を踏まえつつ考察している。例えば、相手を説得する為の論理力(個人としては教養に裏づけされた論理的整合性であろうし、政党としてはそのマニフェストの質)や、政治のプロとしての自覚から来る自己鍛錬の姿勢である。

 最終部分では、それらの資質を持つ政治家不在の日本の現状の分析と、改善策に紙数が割かれている。それによると、日本の政治家の無能さには、本人の資質の問題もあるにせよ、構造的な問題、例えば政策などが問われない利益誘導型の集票を可能にしている選挙制度や、政官業の癒着の問題が挙げられている。とにかく、様々な要因により、日本の政治においては理想が決定的に欠乏しているから、長期的な視野からの計画もなく、また、人心の活力も枯渇しつつあるのであると作者は指摘している。

 日英両国の構造に対する鋭い指摘と分析の光る作品であると思う。経済論から将来的ビジョンの提示、自民党型政治の弾劾、題名どおり一般論からの政治家の条件の模索など様々な要素が盛り込まれており、個別的には極めて秀逸な論評が多いものの、全体的な論旨の統一性において弱さがあるように思う。Topic をもう少し絞るべきであったと思うが、しかしながら、このある種の脱線感が、逆に読み物としての面白さをこの本に与えているという観点もあり得る。
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