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茨木のり子 「小さな娘が思ったこと」 

小さな娘が思ったこと

小さな娘が思ったこと
ひとの奥さんの肩はなぜあんなに匂うのだろう
木犀みたいに
くちなしみたいに
ひとの奥さんの肩にかかる
あの淡い霧のようなものは
なんだろう?
小さな娘は自分もそれを欲しいと思った
こんなきれいな娘にもない
とても素敵な或るなにか…

小さな娘がおとなになって
妻になって母になって
ある日不意に気づいてしまう
ひとの奥さんの肩にふりつもる
あのやさしいものは
日々
ひとを愛してゆくための
  ただの疲労であったと

『茨木のり子詩集 現代詩文庫 第 1期20 』



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