人の心 

 人の心とは何だろう。

 春風薫る草はらのうたたねが、突如吹きすさぶ風雨の修羅と化す。

 気が変わる。

 誰もがきっと気が変わる。

 くるくるくるくる、表情を変える。

 赤子にほほ笑んだ次の瞬間、10年前の屈辱をふと思い出し、鉛色の血流にため息をつく。

 善人と悪人がいるのではない。
 
 宇宙の混沌を映す鏡たちが互いを映しあっている。

音楽が帰ってきた 

音楽が帰ってきた

揺さぶられる心よ
歌うがいい
その鳴り響く喜びと
きりきりした寂しさを

そして刻め
天井の五線譜
その水晶の羊皮紙に

和声がよみがえり
音楽が帰ってきた
そして今度は
その一音一音を噛みしめ
愛しもう
終わらぬ曲はないものの
瞬間の響きに
永遠は宿るのだから

追想 

誰かの傍に居ることが幸せなのか
誰かが傍に居ることが幸せなのか

どちらにせよ

手放してはならない人ほど
いなくならないと気がつかないものだ

心のかけら 

心のかけらを探しています

いつかの夏の青空か
こみ上げる憎悪のおおもとか
渦巻く記憶の回廊の
どこかに落としてきたのだけれど
どこだかまるで
思い出せないのです

心のかけらが咽ぶたび
ひび割れた心が
震えます

だから今日も辛いのです
きっと明日も辛いのです

いまを一人で生きるため
あなたを憎まず生きるため
心のかけらを探してます

愛憎 

それが
引き寄せたいという
気持ちである限り

愛と憎しみは
ふたつでひとつ

髪の焦げるにおい

それを人は
「業」と呼ぶ

捨てることで生きる
絆もある

ゆらめく水面 

愛するものほど
すっと手放し

いま逢うあなたに
心を尽くす

とどめど
水は
とどまらぬ

汝、我を知らず
我、汝を知らず

知らぬがゆえに
淀み、縛り、腐る

人よ

去り行け
去り行け

別れゆけ
別れゆけ

ただ、流れ行け

その日その日と
さらさらと

みな流れ込む
おほうみの
常世のうねりを
誰ぞ知る

迷える者へ 

いま背筋を伸ばせば
まっすぐな生き方ができる
いま朝食が美味しいなら
健やかな生き方ができる
いま誰かを笑顔にしたならば
人を幸せにする生き方が出来る

そして

いま迷っているものは
迷いの中をもがき続ける

迷えるものよ

「いま」なすことが
汝のすべて

伝記は
死んだ後に
誰かが勝手に書いてくれる

意味は探すものではなく
できるもの

だから

「いま」傍に居る人に

光の種を
撒きなさい